著名欧州バッグブランドが日本の小規模バッグ製造企業に警告状を発送した事案

エルメス、グッチ等著名欧州ブランドは、会社内に知財部等の知財管理部門があるか、または知財担当者が顧問の弁護士に依頼して、コピー品、類似品の販売に目を光らせている。この点は、かつて、確かに不正競争品と思しき類似品が所定の数国内で販売されていた経緯からブランド企業も対策に追われた経緯もあり、理解はできる。
但し、そのブランド企業側の対応にも行き過ぎが見られる場合もあることも事実である。本件はそのような事案である。

某著名欧州バッグブランドは、革製品による特定の柄を売り物にしており、企業宣伝によりその「特定柄」は自社の商品を示す柄である、とし、特定柄を持つ高級革製バッグを多品種販売していた。この企業方針に基づき、当該著名ブランドの日本支社は、顧問先の法律事務所を使って、国内の複数の小規模バッグメーカに対して、「不正競争防止法違反である」という警告書を送った。
しかしながら、当該著名ブランド会社が自社のオリジナルであると主張する特定柄は、日本のバッグ業界においては古くから使われている柄であった。そこで、警告書を送られた小規模企業は、この問題を協会の特許委員会へ持ち込んだ。

私は同委員会の顧問をしていることもあり、本事件を重く見て、各企業による個別対応ではなく、協会としての対応を行うことを薦め、そのように決まった。また、同協会の上部団体も本事案に関与を決め、連名で回答書を出すことに決めた。
回答者案は私が作り委員会で検討した。警告書は余り知財に精通していない弁護士が作成したことが明らかであり、法律的に不明確な点を突くと共に、本事案で問題となる特定柄は日本のバッグ製造業においては以前により広く使用されているありふれたものであることを紳士的に主張した。
これに対し、著名ブランド企業側は、2つの業界団体が対応したことに驚いたのか、中途半端な主張で警告を撤回し、紛争事件は大事に至らずに収束した。

ブランドの知的財産は尊重しなければならないが、主張すべきことは堂々と主張することは絶対に必要であり、その際に、中小企業にとっては業界団体の存在は非常に大きな助けとなる。
また、大手の法律事務所からの警告書は事務所名がブランド化していることもあり、受け取った側は非常に緊張することとなるが、知的財産を本当に理解している弁護士は非常に少なく、論理に飛躍があったり、乱暴な議論をしていることも多い。従って、知財紛争に強い弁理士・弁護士に依頼することにより、事態を克服できる場合も多々あることも事実である。

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