実用新案について | 特許申請・出願の無料相談|至誠(しせい)国際特許事務所

実用新案について

実用新案とは

実用新案は「簡易な特許」です。
大企業は実用新案をほとんど利用していませんが、中小企業の方々には、実用新案を利用されることを強くお勧めします。
一般によく誤解されがちなのは、「こんな簡単なアイデアだから特許ではなく実用新案ですか。」という相談を受けます。

「簡単だから実用新案」「複雑なアイデアだから特許」という考え方は、一面当たっておりますが、一面間違っています。

実用新案法で保護される考案は、「物品の形状、構造、組み合わせにかかる考案」です。

従って、あくまでも具体的な形態にかかる考案に限定され、「製造方法」は対象とはなりません。
従って、製造方法等の「方法」に関するアイデアは実用新案にはなりません。
従って、確かに、方法等の複雑なアイデアは実用新案にはなりません。

しかし、実際の登録の要件としての新規性、進歩性等の越えるべきハードルの高さは、実は、特許との間で差はありません
従って、対象が限定されているのみで、審査で要求される登録要件のレベルは特許と同様です。

また、非常に簡単な構造の日用品のも特許となっている事実があることを考慮すれば「簡単なアイデアだから実用新案でしか保護を受けられない」ということでもありません。
ですから、このような観点で特許にすべきか、実用新案とすべきを考えるべきではありません。

実用新案制度について

実用新案制度は平成6年度の改正で、現在は無審査登録制度になっており、無審査で登録になることから、極端な話、「物品の形状、構造、組み合わせに関する考案(アイデア)」であれば過去にすでに存在したものでも登録になります。

かつては特許の場合と同じように厳正な登録用件の審査を行ってから登録する審査主義を採用していましたが、現在は改正により無審査登録主義となっております。
ここが実用新案制度の特徴です。

従って、現在の特許庁の実務では、出願後2.5月で登録になります。特許が審査請求から約3年以上かかって初めて拒絶理由通知が出ることを考慮すれば非常に早く登録を得ることができるわけです。

実用新案の登録

「何でも登録になるのであれば、登録の価値がないのではないか」、ということになりますが、「実用新案登録第~号」という文字を製品のタグ、広告等に記載できることの事実上の効果は非常に大きく、あえて紛争事件を覚悟してその製品を真似ようとする第三者は非常に少なく、事実上、有効に模倣を抑止してマーケットを守ることができます。

また、実際に、侵害者が出てきた場合には、警告書を送付して、その第三者に対して「侵害である」旨の警告を行うこともできます

但し、この場合には、事前に「技術評価請求書」を取得する必要があります。

上記のように「実用新案登録」はあくまでも「無審査登録」であることから、登録は玉石混交で、実力のある登録もあれば、価値のない登録もあります。

従って、実際に権利行使する場合には、事前に特許庁の簡易な審査を受ける必要があります。
この審査の結果は、「登録の成績表」のような形式の「技術評価書」として発行されます。「技術評価書」には1点~6点の登録の評価点が審査官により記載されてきます。この「技術評価書」を警告書に添付して警告を行うこととなります。

この場合、6点は満点であり、発生する権利は非常に強い権利です。
一方、5点以下の場合、何らかの傷のある権利、ということになります。
5点以下の技術評価書を添付して警告を行うと、相手方も「あなたの実用新案権には傷があるので、権利行使されるのであれば当方は無効審判を請求しますよ。」ということになります。

従って、この後は、当事者間での交渉、紛争事件となるわけですが、実際にこのような紛争事件にまで発展するケースは非常に稀です。

実用新案を利用方法

多くの場合、例えば、製品のタグに「実用新案登録第~号」が付されていた場合、紛争事件を警戒して模倣を行わない場合が多いことから、実用新案登録によりアイデアを守ることは可能です。
従って、特に、中小企業の方々は、以下の、実用新案の特許に対する優位性を考慮し、実用新案を積極的利用すべきと思います。

1.登録までの費用が特許よりも非常に安い(特許の場合の約1/3)。

2.登録までの時間は特許よりも大幅に短い(約2.5ヶ月)。

3.権利としての強さは特許と同じである(差止・損害賠償・不当利得返還)。

但し、権利の存続期間は10年(特許は20年)ですから、商品のライフサイクルを考慮し、もし、10年の保護期間でよい、ということになれば、実用新案での保護を強くお勧めします。

著者

所長弁理士 木村高明

所長弁理士 木村高明

所長弁理士

専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。

製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。


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