実用新案の効果的な使い方 その2 | 特許申請・出願の無料相談|至誠(しせい)国際特許事務所

実用新案の効果的な使い方 その2

よくある顧客の方からの相談で、「このアイデアに関しては、形状に特徴があり意匠を登録したいが」というものがあります。

このような場合に、私の方では
その形状に技術的効果があれば実用新案登録の方が有効です」と
お答えする場合が多いものです。

このようなご相談がある理由には、「実用新案は無審査登録制度なので余り権利に価値がない」
という点があります。

これは確かにそのとおりではありますが、まず、意匠登録の意味を確認しておく必要があります

意匠登録はデザインの登録ですが、あくまでも物品の形状等に関するデザインをそのままの形で
登録するものです。

意匠権の権利範囲は登録したそのものの形態及びその類似する範囲まで及びますが、
あくまでもズバリその物品の形状を基礎に登録しますから、
類似の範囲も余り広い範囲は期待できません。

一方、実用新案は特許と同様に「技術に関するアイデア」ですから、
非常に抽象的な表現が可能です。

従って、意匠と比較した場合、権利範囲が広いことは明らかです。

また、「実用新案は無審査制度なので権利を取っても意味がないのではないか」というのは
一般的な見解です。

この点は特許と比較した場合、間違いではありませんが、特許の場合、
特許として成立させるまでにかなりの時間とお金がかかります。

現状、特許成立までは約2年~3年必要ですし、費用も実用新案の3倍程度はかかります
実用新案は使い方さえ間違えなければ、「知財によるマーケットコントロール」という目的を
十分に果たすことができる費用対効果に富んだ権利です。

意匠権との対比では、上記のように意匠権の及び範囲が特許、実用新案に比して
狭いことがデメリットとなります。
従って、私としては1件の出願で対象を保護したい、という場合には
原則として実用新案の方をお勧めします。

では意匠は全く権利を取る意味がないのか、というとそうではなく、意匠も使い方があります。
もし、費用的に許せる場合には、関連意匠制度を利用することにより侵害においては
特許以上に有効な権利防衛を行うことができます。
また、費用的に制限がある場合には、「部分意匠」をうまく使うことによって、
効率的な保護が可能となります。

要は、制度の弱点を知っていかにそれをカバーしつつ利用するか、に尽きます

 

 

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著者

所長弁理士 木村高明

所長弁理士 木村高明

所長弁理士

専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。

製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。


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