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部分意匠について

①「部分意匠」とは?

意匠には「全体意匠」と「部分意匠」とがあります。
全体意匠とは、物品の全体を意匠登録するものであり、部分意匠とは、物品の一部分のみを登録するものです。
本来は、物品毎に意匠は存在することから、一物品が意匠の単位となります。
部分意匠はこの例外であり、一定の条件下に部分意匠の成立が認められ登録の対象となります。

部分意匠」は上手に利用すると広い権利範囲を費用を節減して確保できる可能性があります

例えば、バッグ、文房具等の製品で、デザインがシリーズ化し、同一のデザイン部分を残しつつ、相互に類似するデザインであって若干の変更のみが加えられているような複数の製品に関し、意匠で保護したいような場合には部分意匠を利用すると最低限の費用で有効な権利を取得することができます。
本来は、アジア諸国での日本製品の要部を模倣し、全体としては非類似となる商品の日本市場への輸入を日本国内で排除するために導入された制度。現状、制度創設の趣旨とは異なった観点からの利用がされている。
利用件数は多い。

②どのような場合に利用するか?

以下のような場合が考えられます。

ⅰ:物品そのものとしては新しいデザインではないが、部分的な要素が新しくかつ部品ではない場合。
ⅱ:複数のデザインで複数の意匠に共通部分がある場合

当該共通部分のみを登録することにより、変化する部分が全体としての印象に影響を与えない範囲であれば権利範囲が及ぶ可能性あります。

③ 外国法制

部分意匠制度がある国は、米国、EU、韓国で、部分意匠制度がない国は、中国・台湾です。

著者

所長弁理士 木村高明

所長弁理士 木村高明

所長弁理士

専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。

製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。


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