EPC出願の注意点
①EPC制度の特徴
欧州の主要34ヶ国に、EPO(欧州特許庁)への単一の出願、EPOでの単一の審査で特許化が可能です。
但し、特許権は各国毎に発生するものとみなされます。従って、特許の無効は各国毎に判断されます。
②全件調査
PCT出願と同様に全出願に関し必ず調査が行われ、調査報告書が発行されます。従って、出願を続行するか否かの判断が早期に可能となっています。
③審査は丁寧
EPOの審査は非常に丁寧に特許へ導くようなやり方で行われます。また、補正案は「補助請求」と称して、A案からB案、C案、D案を複数提出することができます。従って、広い権利幅の補正案から次第に減縮していく補正案を同時に提出し、審査官に適宜判断をしてもらうことが可能です。このような手続は、日本や米国にもありません。
④権利の復活・回復
日本と異なり、手続期間を過ぎてしまった場合でも、手続を継続することができます。また、料金支払いの期間を過ぎてしまった場合でも、相当な注意を払ったことを立証すれば納付等が可能です。
⑤異議申立制度
特許後は本来は各指定国毎に権利事情が考慮されますが、EP特許に対して異議を申し立てることができ、この異議はEPOで審理されます。異議は全特許の1/3に対して行われます。異議では希望することにより口頭審理が行われます。
⑥法改正(EPC2000)
2007年12月13日から施行されています。ポイントは以下の点にあります。
ⅰ:日本語でEPC出願かできます。米国、日本と同じ扱いになりました。
ⅱ:全指定制度
出願時に指定国を決める必要はなくなりました。PCTと同様の制度で、全締約国を指定したものとみなしております。
ⅲ:出願時に「請求の範囲」がなくとも出願日の認定がされます。
尚、中小企業独自の目線から生み出された僅かな改良発明等について、
特許権を取得できることも多いですので、ぜひ一度ご相談下さい。