各国の状況
(1)米国
「法改正」頓挫
一昨年からの米国における法改正の動きは、当面なくなりました。
法改正とは、即ち、米国特許法レベルでは、先発明主義から先願主義への移行、施行規則レベルでは、継続出願の回数制限等を予定しておりました。いずれも出願人側の合意を得られず、企業による裁判所への提訴があり、裁判所の「法改正差止判決」により改正不可能な状態に至っております。
従って、米国においては当面、法改正の予定はありません。
(2)欧州(EPO)
① EPC2000
☆実体的部分の改正はなし。方式的事項のみの改正です。
PCTと同様の「全指定制度」導入により願書への指定国の記載は不要となりました。
また、PLTとの整合性が完全に確保されました。
この改正に基づき、「ロンドンアグリーメント」が成立し、EPC各指定国への国内継係属の際の、締約国14ヶ国への翻訳文提出が不要となりました。
(3)アジア
①中国
模倣品に関する問題は残念ながら未解決です。
特に、中国でのアンバランスが目立ちます。
中国では知財制度は、ハードの面では完備しておりますが、制度、特に、訴訟を扱う人側の心のインフラの問題が深刻です。
原因は、例えば、共産党の一党独裁であり、「改革開放経済」路線の悪影響です。
☆意匠・商標に関しては日本企業が中国で中国企業に権利侵害されて相手方を訴え勝訴した事件あり。
しかし、特許に関してはまだありません。
②韓国
韓国は完全に「先進国」の仲間入りを果たしております。
知財の法制度、実務の運用は安定していますが、なお、外国の知財を模倣する事実があり、中国で模倣品を製造し、韓国へ輸入して販売する事態も発生しております。
尚、中小企業独自の目線から生み出された僅かな改良発明等について、
特許権を取得できることも多いですので、ぜひ一度ご相談下さい。
著者
所長弁理士 木村高明
所長弁理士
専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。
製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。