特許年金とはいったい何?
特許申請には費用がかかる
特許というと、それを持っていると大金持ちになれる、というようなイメージがあります。
ただし、それは誰かが申請する前にやらなければならない独自の技術でなければならなかったり、また申請するのにも費用がかかるというが大きなネックです。一つの特許が認められるまでに数十万円かかることも当たり前で、金銭的な負担は大きいです。
そして一番大きいのは、そこまでしても、他からの需要がなければ収入はありません。特許使用料を払ってまで使いたいという気持ちにさせなければならないので、需要がなければ申請する負担だけがかさんでしまいます。
ただ、中小企業や個人なら、特許申請の援助を受けられたり少額になったりという優遇を受けられる場合もありますので、具体的な額を調べてみるといいでしょう。
特許の維持にも費用がかかる
無事に特許をとることができたら、その特許は20年間効力を持ちます。
でも気をつけなければならないことがあります。特許を維持するためには、毎年お金を払わなければなりません。毎年払うので、特許年金と呼ばれています。
特許の申請には最低3年分の費用も支払うので、4年目の分から払うことになります。
ポイントとしては、金額がどんどん増えていくということです。支払いが厳しいと思ったらもう払わなくてもいいのですが、20年の期限を前に、特許の権利を失うことになります。
ですから企業で特許を持つ場合は、利益に直結するかどうかはわからないけれども念のためにとっておく、ということができますが、個人の場合は大量に特許を持つだけで一定の出費を覚悟しなければなりません。
特許年金の具体的な費用
毎年支払う特許年金の具体的な金額はどれくらいでしょうか。
まず、最初に支払う3年分は、2300円プラス、1請求項目につき200円です。
4年目から6年目は、7100円プラス、1請求項目につき500円です。
7年目から9年目は、21400円プラス、1請求項目につき1700円です。
10年目以降は、61600円プラス、1請求項目につき4800円です。
このように特許年金は7年目から急に高額になり、10年目以降は、1つ持っておくだけでも、月々5000円以上かかるので、趣味で持つならば少し面倒くさい出費になってきます。
ただ、もういらないと思えばその時点でお金を払うのをやめてしまえば権利を放棄したことになります。それに、特許はなくなっても発明をしたという名誉は残りますので、欲しがる企業もないようでしたら、早々に放棄してもいいかもしれません。
特許年金の支払いを忘れたら
増額していく特許年金に、今年からは支払おうかどうしようかと考えているうちに、うっかり忘れてしまった、ということもあるでしょう。
その場合でも、6ヶ月以内なら間に合います。
『納付期限経過後6ヶ月以内(追納期間)に、当該年分の特許料及びその特許料と同額の割増特許料を納付することにより、権利を存続することができます』
ということが特許法に書いてありますから、まだ特許が欲しい場合は支払うといいですが、さらに増額されてしまうので、忘れずに払うようにしておきたいです。
そもそも、忘れないように特許庁が教えてくれてもいいじゃないか、という意見もあるかもしれませんが、放っておけば更新を打ち切ることできるという利便性もあるので、どちらともいえないところです。
著者
所長弁理士 木村高明
所長弁理士
専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。
製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。
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