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実用新案制度・中小企業には必須の制度

実用新案制度は中小企業、個人の事業者の味方

日本の実用新案制度は、新規性、進歩性に関する事前審査を行わず登録する無審査制度を1993年から採用している。現状、実用新案登録がされた場合であっても、新規性、進歩性のない場合でも登録にはなる。従って、実用新案登録は「玉石混交」であって価値のない登録も存在する。

従って、必要な際に、新規性、進歩性等に関する審査を事後的に行う「技術評価制度」を設けている(実用新案法第29条-2)。このような無審査制度の法体制は、日本独自のものではなく、実用指南制度を有する中国、台湾、タイと同様である。

「技術評価」とは、出願人又は権利者が実用新案登録の価値評価を特許庁に申請をするものである。この「技術評価申請」があった場合に、特許庁は当該実用新案に関し、新規性、進歩性及び先願性につき事後的に審査を行う。

技術評価書とは、要は、「実用新案の成績表」である。「評価」は点数により示され、1点は「新規性がない」、2点は「新規性はあるが進歩性がない」、3点~5点は「先顔性がない」、6点は「新規性、進歩性があると推定される」である。従って、6点であれば満点であり、特許の場合と同等の効力を有すると特許庁が判断したことになる。なお、「技術評価書」の取得には現状、権利者自ら申請する場合には3ヵ月ほどかかっている。

但し、実用新案権に基づく権利行使、警告を行った場合、その後に当該実用新案登録が無効になった場合には、権利行使、警告により与えた損害の賠償責任が生ずることになる(同法29条-3)。従って、実用新案権者はむやみに権利行使ができるわけではない。特に、「評価1」又は「評価2」の場合に被疑侵害者に対し、警告等の権利行使を行えば、上記規定に該当し、損害賠償を行う事態になる可能性は大きいので注意する必要はある。

それでは、実用新案登録において「6点」でなければ意味のない登録となるのであろうかというと、答えは「否」である。ここに実用新案制度の使い方のコツがある。「評価2」であろうと実用新案登録は成立しているのであるから、権利者は「実用新案登録済み」の表記を商品のタグに付し、また、自社のウェブページ等に掲載して広告することはできる。このような場合、第三者が、もし、当該製品又は広告を見て「非常に魅力的なアイデアであるので私も作りたい」と思った場合でも、実用新案権が存在することは「実用新案登録済み」の表記により認識できる。

また、「評価2」とは「進歩性がない」という評価であるが、進歩性に関する一応の判断の基準は、特許庁の審査基準により決まってはいるが、やはり個別案件により実際の判断は異なる。従って、一義的に「裁判所でも進歩性がないという判断がされる」というものではない。また、「評価2」の実用新案も模倣して紛争事件になった場合には、被疑侵害者側は当該実用新案登録の無効を主張することができるが、実用新案無効審判又は訴訟を提起するのには、概略、100万円以上の費用と、結論出るまでの1年以上の時間が必要が必要となり、結果的に、模倣者には、実用新案権者が支配するマーケットへの参入に、これだけの費用と時間をかけるか、否か、というリスク判断、費用対効果に基づくビジネス判断が求められることになる。従って、実用新案制度は中小企業、個人の事業者の味方なのである。

著者

所長弁理士 木村高明

所長弁理士 木村高明

所長弁理士

専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。

製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。

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