国際段階を管轄するPCT制度 

PCT制度

PCT制度に基づく手続としては、「国際段階」と「国内段階」とがあり、PCTそのものは「国際段階」を管轄する。「国内段階」は、属地主義の原則通り各国法に委ねられており、各国ごとに「国際出願法」が存在する。

PCTによる出願は、最初は「国際段階」においてPCTに基づく手続を行い、その後、権利化国へ「国内係属」して各国法の適用を受け、通常の国内出願として審査される、ハイブリッドな構成になっている。

PCTには以下の4つの主要な制度がある。

  • 1.国際出願制度 
  • 2.国際公開制度 
  • 3.国際調査制度 
  • 4.国際予備審査制度

「国際出願制度」に関しては、改正の結果、現在では「全指定制度」となっており、PCTに基づき受理官庁に対して国際出願を行えば、潜在的に全PCT加盟国に対して出願を行ったと同様の法的効が発生する。国際出願日から30ヶ月又は31ヶ月以内に翻訳文を権利化を希望する国の特許庁へ提出すれば、国際出願日からその国で出願されたものとして取り扱われることとなるものであり、この点もパリ条約に基づく「特許明細書を翻訳し、その国の言語により出願する」ことからくる負担を軽減している。

 しかしながら、PCTにも課題、制度的な改良点がある。特に、中小企業のユーザーからは以下のような率直な評価がある。

  1. パリルートに比して費用が嵩み、国際段階を経由することによりPCTを利用した場合、各国での権利化に時間を要する。

 2.国際調査の結果が信用できない。国際調査の結果を信じて国内係属したが、各国国内段階で特許成立できなかった。

これらの理由は「PCT出願(国際出願)」を行うと「国際調査」がセットになっているからである。このような観点からも「国際調査」の信頼性、価値が問われている。「国際調査の質の向上」が、この間定期的に行われてきた「PCTリフォーム会合」の議論の焦点の一つであった。

著者

所長弁理士 木村高明

所長弁理士 木村高明

所長弁理士

専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。

製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。

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