COVID-19と特許問題 

COVID-19と特許問題

米国政府(USTR)が「COVID-19のワクチンの国際的供給を増やすためにワクチンに関する特許権の一時的放棄を支持する」旨の声明を出した。これに対し、WHOは米国決定を称賛したが、EUは特許権放棄に反対している。ドイツは反対声明を出している。インド等の開発途上国はWTOにおいてこの問題に関し特許権の権利範囲外とすることを求めていた旨の報道がある。また、製薬業界は一様に「特許権の一時的放棄」には反対している。

個人的に、当時、日本の一民間団体の代表として複数回に亘り,WIPO(世界知的所有権機関)・SCP(特許常設委員会)に出席させていただいたが、当時のWHO事務総長であるマーガレット・チャン氏を招いてのセミナーで、WHOの立場から「特許と健康」についてのスピーチでは、「我々は特許が薬品供給を阻害する、とは考えていないし、また、考えるべきではない。特許制度と健康問題とは別個の問題である」旨述べていた。

この問題に関しては、政治的、感情論的観点での議論がなされている可能性がある。新聞報道にもあるように、薬品特許の特許明細書を当業者が読んでも、すぐには薬品製造は不可能であり、かつ、仮に、特許の効力を制限する「強制実施権」が設定されたとしても、非常に高度な薬品であれば製造設備、研究者、供給体制が完備しなければ、迅速な薬品供給にはつながらない。

著者

所長弁理士 木村高明

所長弁理士 木村高明

所長弁理士

専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。

製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。

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