特許の無効審判とは?無効審判の意味と申請の流れ
特許無効審判の意味について
特許無効審判の意味は、他者が取得した特許に対して異議を唱えて特許無効を求める手続きであり、そのためには明確な無効理由を特許庁へ提出する必要があります。
様々な事例が考えられるのですが、知らぬ間に他者から特許侵害を受けていることに気が付いた場合には、速やかに特許の無効審判手続きを取らないと多大な不利益につながってしまう可能性が高いとされております。ちなみに特許無効審判によりまして特許が無効となるケースにつきましては法律により明確となっているのですが、代表例としましては特許出願が共同出願規定に反している場合や、発明者以外の権利を有していない者が出願している場合などが該当しております。
さらに無効審判により特許無効となる可能性が高い事例としましては、特許自体に新規性が無い場合や進歩性が存在しない場合および公序良俗に明らかに反しているような発明などが該当するとされております。そして特許の無効審判は基本的には誰でも請求が可能とされているのですが、共同出願の違反事例と冒認出願に関する事例は利害関係者でなければ請求できませんので注意が必要とされております。
特許無効審判の審理について
特許無効審判の手続きが特許庁にて受理されたならば、さっそく審理が開始されることになります。そして特許の無効審判を請求した者と特許を有している請求された者が相対する形式で審理が進行していきます。そして請求内容の判断に関しては3人もしくは5人の審判官による審理がなされるところが特徴であり、判断に慎重を期している表れであると考えられております。
ちなみに具体的な審理の流れとしましては、特許無効審判の請求人が審判請求書を提出することで開始されるものとなっております。対しまして被請求人は答弁書を提出することになり、特許無効請求に対する意義があれば答弁書の内容に含むこととなります。そして請求人および被請求人により追加の書類を提出してお互いの主張を審判官に伝えることとなるのです。
最終的には審判官の判断となるところが大きいのですが、無効審判における審理が十分に行われたと判断されたところで審判の終結および審決が出されることになります。
特許無効審判における審決について
特許無効審判における審決にはいくつかの種類が存在しており、単純に請求の認定とならない場合があります。例えば部分的には請求を認定するが特許全体を無効にしないという審決などが存在しております。
また特許無効審判の請求自体を却下する場合もあり、理由としては無効審判請求が不適法であった場合などとされております。もちろん無効審判の審決結果として特許無効請求が認められない場合もありますので、請求者は注意しなければならないのです。そして特許無効審判において請求人の請求どおりに特許無効審判の審決がなされた場合には、ただちに特許権の無効が確定することとなるのであります。それから、審決自体に不服がある場合には審決の取り消しを求めて審決の取消訴訟の提起が認められております。
つまり審決が下ったら覆す方法が無いということではなく、救済措置が用意されているということなのでありますが、そのためには審決が下ってから30日以内に審決取消訴訟を起こす必要があります。
著者
所長弁理士 木村高明
所長弁理士
専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。
製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。
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