特許庁のお仕事と必要なスキル
特許庁の役割とは何か
例えば物を作る時に、新しい発明や発見に基づいて作る場合があります。また、色々な物やサービスにおいて、様々なオリジナルのスタイルや意匠、商品名や企業名などのオリジナリティーを守るために、意匠登録や商標といった知的財産を保障することが法令によって義務付けられています。
それから、新しい商品やビジネスのアイデアを第三者に勝手に盗まれないような保障も法令によって決められています。これを実用新案と言います。
特許、意匠登録、商標、実用新案などのいわゆる知的財産の管理や手続きを行う国の機関を、特許庁と呼びます。
特許庁は特許や商標、意匠登録、実用新案などの知的財産の許認可業務を行うと同時に、それらの知的財産の意匠が誰かに無断で引用や盗用をされていないか審査する役割も担っています。
主に、法的な立場から特許、商標、意匠登録、実用新案などに重複や模倣がないかを審査し監視する公的機関だと言えます。また盗用が疑われる事案を受理し、トラブルを調整する役割もあります。
特許庁が審査をする事案の例
特許や商標の侵害は、日常的に起こっています。
あるファッションブランドの洋服が、他のファッションブランドの製品をそのままコピーして安価で下のブランドの許可を取らないで売るとか、あるいはあるITソフトウェアが他のソフトウェアを模倣して元のソフトウェアよりも安価な値段で流通させているなどといったケースは、商標や特許などの知的財産の侵害にあたるケースです。
特許庁は、そのような知的財産等の権利の侵害を申し立てがあった時点で審査し、当事者に対して必要な勧告や助言、あるいは法的な審判ないし非訴手続きなどを行います。
もし仮に特許庁がなかったら
知的財産の手続きを国ではなくて民間に任せた場合、どんな事態が想像されるのか分かり辛いかもしれません。要するに特許や意匠の侵害をオリジナルを生み出した企業自身が自ら探し出して、自分で弁護士等を雇って自費で訴訟を起こして自力で権利侵害をなくすことが求められます。
特許庁がないアメリカでは、企業が自前で弁護士を雇って、知的財産の権利侵害に対応しています。そして知的財産を侵害した相手には、億単位の損害賠償を請求する場合があります。
法的に問題がある場合には、連邦警察や連邦裁判所等に刑事告訴する場合もあります。それすら企業が自力でやる必要があります。
特許庁と弁理士の関係
知的財産を守るためには、特許庁だけではなく国家資格者としての弁理士という存在も欠かせません。さしずめ二者の関係は行政機関と行政書士とのそれに似ています。
知的財産を守る手続きを代行するのが弁理士という資格者です。特許や意匠、商標や実用新案などの知的財産に関する用語や手続きは、一般の市井の人々にとっては分かりにくくとっつきにくい印象があります。それらに関して具体的な手続きや審判等の業務を代理するのが弁理士の仕事です。
弁理士の試験や登録等に事務を司るのも特許庁です。
日本では知的財産を公的な機関が安価で保護しているので、安心して新しい商品を開発できるのです。
著者
所長弁理士 木村高明
所長弁理士
専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。
製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。
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