大企業知財と中小零細企業知財
中小企業保護を行う弁理士の観点から知財を語ります。
一般的に、弁理士、特許事務所は事務所の経営安定化の観点の観点から、大企業を顧客に求める傾向が強いといえます。
特許事務所経営の観点からすれば、大企業を一社顧客に持てば、事務所経営は一応、安泰です。私が20年前に独立する以前は、中規模の事務所(弁理士、特許技術者、事務員を含め約80名)で働いており、その事務所の主要顧客は、日本の有名大企業であったので、独立した後も、自分自身も大企業志向が続き「いずれ大企業に営業をして案件のご依頼をいただけるといいな」と思っておりました。
しかし、その営業活動を開始する前に、当時、自分の周囲に多くの中小(というよりも零細)企業がいらっしゃったので、そちらの仕事をさせていただいているうちに、中小企業専門弁理士になっており、中小零細企業知財にやりがいを見出した、という訳です。
但し、「審査請求って何?」、「商標を特許にしてほしい」という知財知識レベルのお客様(失礼!)であったので、独立後2年ほどは、「なぜ著名大企業の最先端の特許の仕事をしてきた自分がこのようなお顧客を相手にしなければならないのか」という感情が強く、今考えれば非常に傲慢な想いであったのですが、それまでの業務とのギャップに戸惑い、毎朝、憂鬱な気分で、自分の事務所へ向かっていた記憶があります。 しかし、今考えればその時点で自分が感じたこと、違和感が、「中小企業知財」、もっといえば「日本の知財保護制度の問題点」に直結する本質的なものであったことが理解できたのはその10年後でした。
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