世界知的所有権機関(WIPO)と特許制度調和
特許ハーモナイゼーションナイゼーションについての話題
特許制度のみならず、知的財産制度は「属地主義」に従って権利化の手続を行うことが必要となるが、特許の保護対象である発明は、基本的な概念である「新しい技術的アイデア」という点では世界共通のものであり、グローバルな資質を持つ発明を、いかにして「属地主義」というローカルな理念の下で適切に保護していくか、が発明の国際的保護の課題である。
「属地主義」の反対概念は、「世界統一法主義」であり、「属地主義」の方向性は「ローカリズム」であり、「世界統一法」の方向性は「グローバリズム」とも言え、特許等の知的財産の保護に関しては、常に、ローカリズムとグローバリズムの双方の視点が必要になる。
「発明の国際的保護」の障害となっているのは「各国法制の相違」と「言語障壁」である。どの国にも、新規性、進歩性の特許要件が法律として存在するが、特に、進歩性に関しては、各国共に、考え方及び進歩性のハードルの高さが微妙に異なる。その結果、概ね、進歩性を拒絶理由として、「世界的に見て、ある国では特許になったが、他の国では特許にならなかった」という事態が生じる場合が多い。
この観点から、現在のWIPO及び、その前身であるBIRPIである。WIPOではこの動きを「特許ハーモナイゼーション」と称し、日本特許庁は「国際的制度調和」と称している。
著者
所長弁理士 木村高明
所長弁理士
専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。
製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。
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