<特許取得事例>「AI利用地図作製技術案件」-審査段階における「オンライン審査官面談でのプレゼン」の成功例―
特許の「審査段階」における「審査官面談」の成功例
本発明は「土木地図を作成する際のAI技術利用に関する発明」でしたが、本案件は、特許審査における面談の有効性を示す点で顕著なものでした。
一般に、特許審査においては、拒絶応答時における「審査官·審判官との面談により出願人の意見を主張すること」は有効です。特に、審判においては、審判官は出願人の個別事情、意見を丁寧に聞いてくれることから、非常に有効です。一方、審査段階における審査官との面談は、私の経験では、審判の場合ほど有効ではありません。これは、審査では、「どちらかというと、特許審査基準に基づく画一的な判断がされ、審判においてはより個別具体的な判断がされる」という傾向に基づくものと思われます。
従って、私の認識では、審査段階における面談は審判段階における面談程は有効に機能しない、という認識がありましたが、本件においては「審査官面談」が非常に有効に機能しました。
拒絶理由は「進歩性」であったのですが、本件の場合、発明者による進歩性ありの主張を裏付ける技術的解説をパワーポイントで作成してもらい、発明者が審査官にプレゼンすることにより、引用文献と本発明との差異に関する審査官の理解を助け、結果として、審査段階での特許化を可能とすることができました。
なお、本事件の拒絶応答時には、既にコロナ感染時期に入っており、審査官とは特許庁のオリジナルの面談ソフトウェアに基づきオンラインで行われ、発明者は鳥取県在の会社所属の方でしたが、リアル面談の場合と何ら変わらないスムーズさで行うことができました。本件は、特許の「審査段階」における「審査官面談」の成功例です。
著者
所長弁理士 木村高明
所長弁理士
専門分野:知財保護による中小企業(SMEs)支援。特に、内外での権利取得、紛争事件解決に長年のキャリア。
製造会社勤務の後、知財業界に転じ弁理士登録(登録番号8902)。小規模事務所、中規模事務所にて大企業の特許権利化にまい進し2002年に独立。2012年に事務所名称を「依頼人に至誠を尽くす」べく「至誠国際特許事務所」に変更。「知財保護による中小企業・個人支援」を事業理念として現在に至る。事務所勤務時には外国業務担当パートナー。日本弁理士会・国際活動センター元副センター長。国際会議への出席多数。
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